医師としての仕事が忙しいのに、給料そのものがなかなか増えない、増えても税金も高くなっておりなかなか手取りが増えない。
また働き方改革といわれてから何年か経ちますが、劇的に仕事量が減ったことはなく・その上責任だけ重くなり給料は変わらない日々を過ごしている人が多いでしょう。
今、コロナの影響もあり業績が下がった企業を中心に副業を推奨されています。例えばUberEATSは最近流行している副業(本業)ですがこれを医師がやるのは非効率的です。時間単価が低すぎますし時間も満足にとれません。
医師がやる副業としてはどういったものがあり、何がよいでしょうか。今回それらをまとめてみました。
医師の副業としてやってはいけないこと
まず医師ができる副業として、以下のことが大前提になります。
ポイント
- 本業に影響を受けない、受けても軽微であること
- 時間当たりの単価が高い・または今は低くても今後高くなる可能性があること
- 副業をして問題にならない=本業の事業と対立しない
これらは最低限の条件として考えましょう。
例えば、日中の診療時間中に副業として株やFXをやる人がいますが、それは危険です。日中の本業に影響がでてしまいますし、本業が忙しいときに株や為替が大きく動いてしまい大損する可能性があるからです。やはり日中は本業に専念し、時間外(休日や夜間)に副業ができるものにしたほうが本業への影響を軽微にします。
次に時間単価についてです。先ほどいったUberEATSですと、本業への直接的な影響はありませんが時間単価が安く、上がる見込みもありません。これではやる意味がありません。目標としてはバイトをして稼げる時間給10000円をまずは設定するといいでしょう。これを達成できる可能性があるならぜひトライしたほうがいいですが、見込みがないのであれば撤退したほうが良いです。
副業をして特に問題になるのは、本業と副業が対立するときです。例えば、本業として大病院に勤務しているが副業(バイト)として近医で診療をやるには注意が必要です。大学病院勤務等で許可が下りているものであれば問題ありませんが、無断で行う際には本業の顧客を奪うことにつながりかねませんので慎重に対応する必要があります。
医師の場合問題になることが少ないため意識低い人がおおいですが、一般企業では特に意識されています。例えば美容院を新規開業する際には一定の距離を離さないといけないというルールがありますし、場合によっては新規事業を始めたところに古巣の企業から報復してくる可能性もあります。
意識としては本業と全く同じ分野を始めるのではなくすこしずらしたものを始めるか、本業の場所と距離をある程度とり顧客(患者)ターゲットエリアができるだけかぶらないようにする必要があります。
例えば、新規開業の場合勤務医と開業医では診る患者層がややずれるため(入院するような重症患者と外来で終わる軽症患者)問題にはなりません。しかし、新規で同一規模の大病院をつくるとなると対立します。また、開業医と同程度の小規模病院で勤務していた人がすぐ近くで新規開業するとなると患者層がかぶるため対立します。そのため、距離をすこし離しておく必要があります。
これらすべてを満たすのはなかなか難しいかもしれませんが大事なことです。
時間を対価にするかお金を対価にするか
副業において大事なことが何を犠牲にするかです。本業として働くことは時間を対価にして報酬を得ることがほとんどだと思います。実際に他の職業であっても大半が自分が働くことでその時間・内容に見合った報酬を得るのが基本になります。
ただ、副業の場合時間が無制限にあるわけではありません。本業の合間にやるため時間に限界があります。そこで大事になるのが、時間を犠牲にするかお金を犠牲にするかです。
わかりやすい例が投資です。投資は例えば100万というお金を使って株を買い、その売却益で収入を得ます。売買に多少の時間はかかりますがわずかで済みますが、一方で株価が下がればお金が減ってしまうリスクがあります。
時間を対価にした副業は失敗しても時間を無駄に過ごしただけですが、お金を対価にした副業は手軽にできて簡単ですがお金が減ってしまうリスクがあります。このバランスをいかにとるかが大事です。
医師ができる副業とは
では、医師ができることは何でしょうか。主に以下になるといえます。
- バイト医
- 株式・FX等
- 不動産や太陽光投資
- ライター(本の執筆や監修)、講演活動
- プログラミングや翻訳といった得意分野での事業
- ブログ・アフェリエイト活動
- ポイント活動
バイト医
これはまず皆さんが思いつくものでしょう。民間医局やm3.com、MRTなどに多く募集がかけられています。また外来バイトから当直バイト、内視鏡バイトから検診バイトまで多くの種類があります。難易度や場所によって金額に差異がありますが概ね時給1万~2万円くらいが多いでしょう。
このバイトのメリットは簡単に始められること・自分の都合で調整しやすいこと・収入額が決まっており安帝していることがあります。
一方で最大のデメリットが雑所得になることです。雑所得の場合、副業としての最大メリットである通算損益による節税対策ができませんので、所得に対してそのまま所得税・住民税がかかってしまいます。なので実質的な手取りはそのうちの6割程度と考えてください(年収900万~1800万以下の所得税+住民税は43%のため)
また、時間を対価にしたものになりますので収入に限界があります。年をとれば体力的にもきつくなりますます厳しくなりますので若い時限定かもしれません。それ以外にも継続したことでスキルアップ→収入アップといったことは見込めませんので、長期的なメリットは乏しいでしょう。
ココがおすすめ
- 簡単に始められる
- 調整しやすい
- 一定の収入が見込める(バイトしてもらえる収入が明確)
ココがダメ
- 雑所得になるため通算損益による節税対策ができない
- 株式・FX等
- 時間を対価にする
- 継続したことで収入の大幅アップは望めない→長期的継続のメリットがない
株式・FX等
次に投資活動です。こちらはネットが使えればできるため始めるのは容易にできます。また、収益は申告分離課税といって通常の収入とは別に計算されます。こちらのほうですと2割ちょっとの税金で済みますため収益の8割近くを手に入れることができます。
ただ、デメリットとして元本割れしてしまう可能性があります。また、特にデイトレードといった1日の間に細かく売買する方法では本業の間にも操作する必要があり、非常に危険です。やるとしても長期での保有を前提にして少し値下がりしても気にしないくらいの余裕資金で始める必要があります。
僕自身も最初はデイトレードのようにFXや株をやっていましたが失敗して少なくとも100万は損失をだしています。とくにコロナショックのような急激な変動があるときは日中の仕事が終わったときや朝目が覚めたときにとんでもない暴落(損失)を被っていることがあり、次の日の本業に集中できませんでした。
医師の場合、副業に割く時間はありませんが給料が一般人より高めのため余裕資金は比較的多めにある傾向です。資金余裕がある→リスク許容度が高いからハイリスクハイリターンを狙う人が多いですが、やはりローリスクローリターンをメインにやるといいでしょう。また、ハイリスクハイリターンな投資は値動きが激しいため常に気になってしまう・本業に集中できないことが多いのでやはりお勧めしません。
どうしてもハイリスクハイリターントライするならば全体の投資額のうち1~2割程度に抑えまずはそこで実績を作るといいかもしれません。
ココがおすすめ
- どこでもスマホかPCがあれば簡単に始められる
- 時間がかからない
- 申告分離課税のため税金が2割強と割安
ココがダメ
- 元本割れリスクがある
- 日中・夜間も気にして操作することがあり、本業に影響を及ぼす可能性(特にハイリスクハイリターン投資)
不動産や太陽光投資
こちらは先ほどの株式・FXに比べて比較的ローリスクローリターンになります。ただ、厳密にはミドルリスクミドルリターンの方法です。
この方法のメリットはやはり副業が事業として成立することです。個人事業主または法人化することができますので、車やパソコン、家賃等を経費に落とすことができますし、青色申告をすれば副業での収入のうち65万円までが非課税になります。また、通算損益ができますので経費にしていくことで副業での収入-支出(経費等)が赤字になっても、帳簿上そのぶん本業の収入から差し引いて課税(所得税等)することになりますので節税効果もあります。
また、マンション等の不動産は資産になることが多く生命保険代わりになるともいわれています(太陽光は除く)。事業にかける時間も最初の購入までには相当量かかりますが、以後はメンテナンスメインなのでものすごく時間がかかることはなく不労所得に近い側面があります。
一方でデメリットもあります。
一番は負債を負うことです。一番小さい不動産投資として区分マンション(ワンルームマンション)投資がありますがそれでも数千万以上の資金が必要です。そのため、多額の借金を背負う必要があり事業を失敗すればその分本業の収入から補填する必要があります。不動産投資はお金を犠牲にする事業になるため失敗したときのことを想定して動く必要があります。
また、今の日本は人口減少しており地方を中心に地価も下落傾向にあるため、うまく動かないと購入したマンション等不動産の価値が購入後に下落する可能性は高いです。また入居者も少なく赤字経営になるといったリスクもあります。
別記事に不動産運用について注意事項をまとめますので、また参考にしてください。
ココがおすすめ
- 個人事業主・法人化して経営できる→経費算定・損益通算ができる。
- 安定すれば不労所得になる。
- 購入した不動産が資産となる(太陽光は除く)
ココがダメ
- 多額の借金を背負う
- 人口減少・地下下落傾向にあり事業難易度が上がっている
ライター(本の執筆や監修)、講演活動
大学教授などの権威ある人や有名な人であれば、テレビ出演であったり学会での演説・本の執筆をすればそのネームバリューを生かして資金を得ることができるでしょう。テレビなどの有名どころであれば報酬も多額になりますし、本の執筆も売れれば多額の収益になります。
一方で一般の医師の場合、内容がしっかりしたものを作るのに加え売り込みをしないといけません。教授・有名病院の部長といったネームバリューのある他の医師に勝つ必要がありますので、わかりやすい内容をしっかりと作り上げるのに加えて自分を売り込む必要があります。(ただそこで名を挙げるくらいなら、まずは本業で成り上がるほうがこの副業をやるうえでは簡単かもしれません…)
もちろん、ちょっとした他ブログの監修といったものであれば比較的容易にできますが、報酬はあまり期待できませんし他の副業に比べて安定感がありませんのでそれくらいでしたらやめたほうが無難です。
また、すこし書くだけでは事業として認定される可能性は低く、一時的な収入(雑所得)として算定されるため事業所得でできるいろいろなものを経費にする節税対策や通算損益といったメリットを使いづらいです。
ココがおすすめ
- 自分のネームバリューがあるなら多額収入の可能性あり
- 有名になるほど収入アップが期待。
ココがダメ
- 安定性がない=雑所得になる(節税対策ができない)
- 高収入を見込むならある程度人気が出ないといけない
プログラミングや翻訳といった得意分野での事業
こちらは自分の得意分野を生かした事業をすることになります。
クラウドソーシングなどといったサイトを経由したり人づてに頼まれた医師とは異なる仕事を行うものです。
例えばプログラミングや論文の翻訳、ビデオ編集といった個人でできる事業もあれば、起業してチームを組んでアプリや商品を開発したり、新規事業をおこすことで多額の収入を得ることができます。もし趣味を事業にできれば好きなことを事業にできるので非常に魅力的です。
これらは医師+αとなる自分にしかない得意分野がある人にはかなり有力なものとなります。また、これらを安定して行えば事業としてみなされるため雑所得ではなく個人事業主としての事業所得として認められます。その場合、経費算定し節税したり通算損益することができます。
一方で+αとなる得意分野が特にない人にはなかなか難しいです。新規に作るか探す必要がありそこが見つかるor作れるかがカギになります。
ココがおすすめ
- 事業所得として通算損益、節税できる
- 得意分野を生かしていける=好きなことを事業にできる
ココがダメ
得意分野がない人には探すor作る必要あり
ブログ・アフェリエイト活動
ブログ・アフェリエイト活動は上記の得意分野での事業に近いです。これも、自分の得意分野や趣味についてブログに載せていき、必要に応じておススメ商品を宣伝していけばそれが収入につながります。
これも個人事業主での事業所得として認められるため、通算損益や経費算定ができ節税対策になります。
一方でこちらはまず時間がかかります。ブログを書いても、周りに見てもらうまでに相当な時間がかかります。毎日投稿してもまずみてもらうようになるまで数か月、収益を出すとなると1年近く我慢が必要です。始めるのにかかる資金はそれほど多くないですが、相当な時間を覚悟する必要があります。
また、何を書くかブログのコンセプトを決める必要があります。自分の得意分野・趣味でないと書き続けることは困難ですので、何なら継続できそうか見極める必要があります。
ココがおすすめ
- 事業所得として通算損益、節税できる
- 得意分野を生かしていける=好きなことを事業にできる
ココがダメ
- とにかく収益がでるまでに時間がかかる
- 得意分野がない人には探す必要あり
ポイント活動
これは今までの中で一番簡単です。一般の人で使うものならモッピーといったポイントサイト、医師ならm3.com等にあるポイントサイトを利用してポイントを貯めることです。
アンケートに答えたり動画をみたり、特定の商品を購入するだけでポイントが貯まります。
例えばモッピーではアマゾンで商品を買うときにモッピーのサイト経由で購入するだけで1%分ポイントがもらえます。もちろん追加料金なしです。また、m3.comではMRさんの記事を読むだけでポイントがもらえます(ほとんど読まずに閉じてもいいです(笑))
非常に簡単にポイントがたまるため簡単ですが、高収入は見込めません。月にせいぜい数千円がいいところでおこづかいていどです。
ココがおすすめ
- 簡単に始められる
- 労力がほとんどかからない
ココがダメ
ちょっとした小遣い稼ぎ程度しかたまらない
結局なにがいいの?
どれがいいかは本人らの得意不得意・資金事情によって分かれます。時間的な余裕・資金余裕・個人の地位や力によって大きくかわるでしょう。以下表に簡単にまとめてみたので参考にしてみてください。(あくまで個人の感想になります)