毎月給料から多額の年金保険料が引かれており不満を持つ方は多いと思います。特にたくさん稼いだ人にとってはより多くの年金保険料が払われ不満が多いでしょう。
一方で、「ほかの人よりも給料が高く、多くの保険料を払ったんだから年金も十分もらえるだろう。老後は大丈夫」と考える人もいると思います。
残念ながら答えはノーです。確かに若干支給額は増えますが、支払額が増えた割に老後を安心できるほどの受給額はみこめません。
老齢基礎年金について
65歳になり年金をもらうとき、主に老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。個人事業主では厚生年金はありませんが大半はサラリーマンのような雇われ側ですのでこの2つの保険料を支払い、老後受け取ることになります。
老齢基礎年金はこれまでの年収による違いはなく支給年数での違いのみです。一方で支払う額も変わりないためある意味平等なものともいえるでしょう。
これは日本年金機構に記載されている支給額の計算式です。
満額が781700円であり、ここから免除や減額した月数分だけ減額されることになります。この基礎年金は半分は税金を使うため支払い免除になっても半額は支給されるのが特徴です。
ちなみに支払額は物価上昇や実質賃金によって変動しますが2020年時点では月々16540円となり、15年前から月3000円ほど増額しています。(かといって支給額が増えてるわけではないです。)
形上は賃金が増えない限りは支払額は増えないですが、高齢者が多くトータルでの支払額が増大しているた、今後もルール変更等で支払額が増額していくと思われます。(または支給額が将来的に減額されるでしょう)
老齢厚生年金について
こちらは企業と折半して支払います。
現在は標準報酬月額×保険料率(18.3%)となっており、個人としては半額の9.15%支払うことになります。これが給料に応じた保険料となる部分です。
では支給額はどうかといいますと実は2003年3月を境に支給額がかわっています。
A:2003年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間の月数
B:2003年4月以降の加入期間
平均標準報酬額×(5.481/1,000)×2003年4月以降の加入期間の月数
老齢厚生年金額=A+B
平均標準報酬月額と平均標準報酬額と微妙に言い方が違ったりしてややこしいのでわかりやすくなると下記になります。(この違いの原因は2003年まではボーナスに対しては保険料不要だったが、今はボーナスにも保険料がかかるため)
A:2003年3月以前の加入期間
平均給与月額 × 12 × 0.7% × 2003年3月までの加入年数
B:2003年4月以降の加入期間
平均年収 × 0.55% × 2003年4月以降の加入年数
老齢厚生年金額=A+B
要は2003年まではボーナスは除外した毎月の給料に対して0.7%支給され、現在はボーナス込みの給料に対して0.55%支給されます。
昔はボーナス除外してくれてしかも今より0.15%高かったんですね・・・・。しかし、大事なことはその年の年収が100万増えても支給額は年間5500円(月別で458円ほど)しか増えないこと。30年ほどほかの人より100万多く稼いでようやく年間165000円(月別で13750円)の増額です。
一方、支払額は年収が100万増えると自己負担では年間91500円、会社負担分も入れると年間183000円負担増となり、30年ほど100万多く稼いだとすると合計2745000円、会社負担も入れると5490000円の負担増になります。
確かに負担が増える分、支給額も増えますが自己負担分の回収だけで20年近くかかります。65歳からの支給となりますので少なくとも80歳以上生きてようやくトントンです(笑)。正直、貯金してためておくか低利回りの比較的安全な債権にしたほうが無難です。しかも2003年に改悪されたように今後さらに改悪される危険性はあります。また年収100万高い生活をしていた人が急に老後になってほかの人たちより年収が16万ほど高い生活となればその差額分節約が必要です。これを理解しないでおくとたくさん保険料払っているから大丈夫と安心していては危険です。